販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

『リツェウリツェ』ナタシャ・ボヤニッチ

内戦で難民となり、セルビアへ
ダウン症の困難をこえ、自分の人生を切り拓いた

『リツェウリツェ』ナタシャ・ボヤニッチ

ナタシャは1990年代、母と祖国ボスニア・ヘルツェゴビナを後にした。内戦のためだった。セルビアに到着してさまざまな難民センターで暮らす日々は、ダウン症の彼女にとって困難を極めた。
「内戦がなければ今でもサラエボで暮らしていたでしょうね」とナタシャの母ミレナは言う。もし自宅に留まることができていれば、ナタシャは特別なホームスクーリングに参加しているはずだった。
「3歳の時から言語セラピストや特別支援教育の先生についてもらい、ナタシャの可能性が最大限に引き出されていると感じていました。彼女の努力が報われるのを目の当たりにして、私もナタシャのサポートを続けたいと強い思いを抱くようになっていました」
 しかし、内戦とそれに続く難民生活はそれまでの努力を水泡に帰した。セルビアでは特別支援学級に入る選択肢はなく、通常の学校に通うことを余儀なくされた。結果的にナタシャは、自分の世界を守るために根気強...

続きは、本誌をご覧ください

『Liceulice』 
1冊の値段/200セルビア・ディナール(そのうち半分が販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ベオグラードほか

Text: Dejan Kožul, Liceulice/INSP/編集部

Photo: Skullcheez

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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