販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
米国『ストリート・センス』販売者 ニッキー・スミス
自分のことをみじめだと思ったことはない。
すべての人がホームレスを抜け出す日は「必ず来る」
フィラデルフィアから首都ワシントンに到着したニッキー・スミスがまず気づいたことは、街の通りに動物たちがいないことだった。「それで腑に落ちたんです。通りで寝ることは、動物たちにとっても危険だってことが」
だが、次に驚いたことは通りで寝るホームレス状態の人たちの多さで、それはフィラデルフィア以上だった。
44歳になるスミスの状況は、ワシントンに来てからの数ヵ月でかなり変わった。『ストリート・センス』を販売して、テント住まいからシェルターへと移り、数時間を書き物に費やすようになった。「今では書くことなしには生きていけないほどになりました。書くのはいつも、人生や人々のこと。口には出せないことも、書くことで解き放つんです」
ネイルや髪をセットして、見た目も見違えるほど元気になった。でも、ニッキーはそれ以上に他者を助けることに時間を割いている。NPO「公正な連帯をつくる人々」に参加し、ともにホー...
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE
464 号(2023/10/01発売)
特集わたしたち、弱いロボット
スペシャルインタビュー:リタ・オラ
リレーインタビュー:yukarinさん