販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
『ビッグイシュー台湾版』販売者 劉子承
新しい苦難がやってきても、
それをみんなで乗り越える時、大きな満足感がある
待ち合わせ場所に行くと赤いTシャツが目に飛び込んできた。2月の台北はもう25度を超える陽気だ。
日本から取材に来た筆者が「今日は時間をとっていただいて、ありがとうございます」と通訳を介して告げると、「大丈夫」と日本語で返ってきた。劉子承さん(40歳)は大の日本文化好き。これまでも苦しい時には、日本のドラマやアニメに勇気づけられてきたという。
『ビッグイシュー台湾版』の販売を始めてもう12年になり、現在は観光客の多い永康街を売り場にしている。「これまで4つの場所で販売してきました。『台湾版』は若い人の間で知名度が高く、人気なんですよ」
劉さんがホームレス状態に陥ったのは20歳頃のことだ。台湾新北市の板橋区で育ったが両親を亡くし、サポートしてくれていた祖母もほどなくして亡くなった。唯一の頼りであった叔母も精神科病院に入院。一人っ子の劉さんには頼れる親族がいなかった。
政府機関である「台北...
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE
476 号(2024/04/01発売)
特集「ネガティブ・ケイパビリティ」を生きる
スペシャル企画:ボブ・マーリー
リレーインタビュー:スポーツコメンテーター 八木沼純子さん