販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

販売者会議

金品。受け取るべきか? 否か? 東京で販売者が会議

販売者会議

読者のみなさんから、販売者について
「その姿に励まされる」という声がよく届く一方で、
最近、おつりのやりとりなどで苦情の声が寄せられた。
そのため、東京では延べ50人以上の販売者が参加し、2回の会議を行った。
合計6時間をかけたその会議の一端を報告。

『ビッグイシュー日本版』の販売者行動規範には第7条「ビッグイシューのIDカードをつけて『ビッグイシュー』の販売中に、金品などの無心をしません」という項目がある。
創刊から最近までまったくと言っていいほどなかった販売者への苦情。ところが、「おつりがすぐに出てこなかった」「おつりをくださいというと嫌な顔をされた」といった苦情がたまに寄せられる。
販売者にとってはお客さまからのサポートが何よりもの支え。そこで、販売者のイメージを落とさないことや、雑誌の金額(300円)以外に金品をいただかないことなどについて、本音で話し合った。
代金以上のお金については、「もらうと嫌な気持ちになるので、絶対に受け取らない」という販売者がいる。その一方で、「初めのうちはずっと断っていたが、お客さまの気分を害することがあって……」「ご厚意なので断りづらい」という声が多くの販売者から出された。
その時の対応としては次のような意見があった。「ご厚意に感謝しつつ、『ビッグイシューは定価販売なんです』と笑顔で言っておつりを受け取っていただくようにしています」「夏はかもめ~る、冬はお年玉つき年賀はがきを渡して、何らかのかたちでお返しをします」「500円玉を出して『おつりはいらない』という人は多いね。数百円ならば丁寧にお礼を言って受け取るようにしているけど、金額が多いときは困るね」「500円渡されたら200円のバックナンバーを渡すようにしています」「チップと思って受け取ってます。タクシーで『おつりいいよ』っていうのと同じじゃないのかなぁ」「『多くもらっちゃうと、私ここに立てなくなっちゃう』と言いますね。あと、700円持っていてすぐにおつりを出せるようにしてます」
品物については、「お弁当とかをもらうことはよくあるよ。具合や売り上げが悪いときの差し入れは正直いって、うれしいよね」「お金はともかく、飲み物はよいんじゃないかと」「バレンタインなどにお手紙と一緒にプレゼントをもらいました。それを断るのはねえ……」といった声も。それ以外に「足元に10円玉を置いていった人がいて、悔しくなった」「雑誌を買わずにお金だけ置いていく人に、追いかけていって説明して返したことがあった」など、お金だけ渡そうとする人に傷つく人もいた。
そのような声が出た後、「今日苦しいからって、決してお客さん(のおつりや差し入れ)をあてにしちゃいけないと思う」「『この人は働いてるんだな』とわかってもらうことが大事」「大きい金額、小さい金額、どちらも断りにくさは一緒」「断ることで(お客さまも自分も)後味の悪い思いをしたことがある」「個人で断るのは難しい。雑誌を買うことで応援しようと思ってもらえるようなキャッチフレーズや『ビッグイシュー憲章』みたいなものがあると助かる」「手紙など、会社からも提案してほしい」といった意見が出た。
このような議論を受けて、2回目の会議では「会社からお客さまへの手紙」案と「誌面で販売者会議の様子を伝える」「販売者は働いています、というキャンペーンをする」「(長期的には)行動規範を厳しく改訂する」といった案を会社スタッフから提示し「会社ができること」「販売者ができること」などを議論した。
「お客さまに我々の気持ちを伝えるために、『販売者の誓い』として誌面に掲載しては? 行動規範のようにずっと掲載するのもよいと思う」「販売場所で看板やポスターを掲示する」「会社からの手紙に一言自分で書き添えて手渡す」「会社からの手紙より、販売者からとするほうがよい」「誌面を使ったキャンペーンをするといいと思う(※)」「手紙より、メッセージ入り領収書のようなものがソフトでいいのではないか」「お客さまの意見も聞いてみたい」「手紙ではなく、口頭できちんとお客さまに伝えたほうがいい。気持ちが伝わるからね」「全国では同じような問題(苦情など)があるのか知りたい」。多くの提案や意見が相次ぎ、3時間があっという間に過ぎた。
まずはこの会議の様子を「今月の人」で取り上げることについては、「お客さまの意見を聞きたい」「真剣に販売をしていることを知ってもらうのにはよい」と全員一致で決まり、ビッグイシュー販売者としての姿勢やイメージアップについての取り組みについては引き続き話し合いを続けることになった。
読者のみなさん、ぜひご意見をお寄せください。

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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