販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
『サプライズ』販売者 ハイニ・ハスラー
てんかんの治療を経て、アスリートに。
スペシャルオリンピックスでメダル獲得も
「アクシデントって、続くみたいですね」。スイスのストリート誌『サプライズ』の販売者ハイニ・ハスラー(62歳)はそう語り始めた。同誌の販売をしながら、馬の世話も引き受けている彼は、最近うっかりはしごから落ちて腕をケガしたという。「傷の手当てに数時間もかかり、5日間入院しました」
その数日後には、一緒に歩いていた親友が脳卒中に見舞われた。だが、振り返れば、人生で最悪の経験は自身が4歳の時に起こったという。「2歳の子どもがトラックにひかれるところを見てしまったんです。このトラウマからは一生立ち直れないでしょうね」
ほぼ同じ時期に、てんかん(※1)を発症した。近年発作は起きていないが、今後起こらないという保証はない。「でも、そういう運命が今の私をかたちづくったと言えるでしょう」とハスラーは語る。
スイス東部グリソン州のドマート・エムスで、7人きょうだいの一人として育ったハスラー。家族は、てん...
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この記事が掲載されている BIG ISSUE
413 号(2021/08/15発売)
特集生物と第6の「大絶滅」
特集:生物と「第6の大絶滅」
スペシャルインタビュー:ベン・ウィショー