販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
スイス『サプライズ』販売者 ヤスミナ・ムリナ
紛争で夫を亡くし、5人の子どもとスイスへ
安定した仕事に就き、ただ普通の生活がしたい
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チューリッヒ市内のクロイツプラッツ広場に建つスーパーの前で『サプライズ』誌を販売しているヤスミナ・ムリナ(50歳)。夫をユーゴスラビア紛争で亡くし、30歳の時にセルビアから5人の子どもを連れてスイスへやって来た。
「学歴もなく、ドイツ語も話せない身で、外国でシングルマザーとして生きるのは生易しいものではなかった」と振り返る。しかし、この地で20年間懸命に働き続けてきた甲斐あって、何とか生活をやりくりし、子どもたちにはよい教育を受けさせることができた。
だが、ムリナ自身は今、簡易宿を転々とする生活を送っており、「路上生活になる日も近いかも」とこぼす。「私は長い間、何事もないかのように振る舞ってきたんです。自分のつらい状況を人に話すことは、そう簡単にはできないですから」
少し前に大手飲食業の仕事を解雇された。「最初の上司はよくしてくれたのですが、新しい上司が『きみの仕事ぶりは素晴らしいから...
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Photo: Courtesy of Surprise
Text:Dina Hungerbühler, Surprise/INSP/編集部
『Surprise』
1冊の値段/6スイスフラン
(そのうち2.7スイスフランが販売者の収入に)
発行頻度/月2回
販売場所/バーゼル、ベルン、チューリッヒなど
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE
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425 号(2022/02/15発売)
特集「でこぼこ」風景 日本列島の不思議
スペシャルインタビュー:オードリー・タン