販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
セルビア『リツェウリツェ』販売者 ナダ・スパシッチ
私の名前はナダ――“希望”
突然の里親との別れ、シェルター暮らしを乗りこえて

私は首都ベオグラードで生まれましたが、セルビア北部にある都市ズレニャニン近くのアレクサンドロボで里子として育ちました。里親は実子のように接してくれて、自立するよう助けてくれました。
ですが、20歳になってソーシャルワーカーから突然告げられたのは、もう家を出なければならず、住むことができるのは(ホームレス状態の人向けの)シェルターしかないということでした。里親と別れるのはつらかったですね。でも、今でもやりとりは続いていて、会いに行ったりもしています。
ベオグラードに来てまず頭をよぎったのは「こんな大都市でどうやって生きていけばいいの?」ということ。シェルターに着くと、環境は決して良いものではありませんでした。それでも路上で暮らすよりはましだと思って耐え、できるだけシェルターの外で時間を過ごすようにしました。
私同様に、シェルターで極力時間を過ごさないようにしていた男性がいたのですが、彼...


Photos: Sara Ristic
Text:Milica Terzic, Liceulice/INSP
『Liceulice』
1冊の値段/200セルビア・ディナール(そのうち半分が販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ベオグラードほか
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE

429 号(2022/04/15発売)
特集恐れない都市「フィアレス・シティ」
スペシャルインタビュー:ユン・ヨジョン