販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
スウェーデン『ファクトム』販売者アニタ
79歳、こんな年齢まで生きられるとは思わなかった。
過酷な人生を乗り越えてきた今、お客さんの悩みを聞く側に
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ストックホルムやヨーテボリに次いで、スウェーデンでは3番目に多い人口を有する都市マルメ。キャロリ・ショッピングセンターの前は、ランチタイムの直後ということもあって多くの人々が行き来する。
ここで3年前からストリート誌『ファクトム』を販売するアニタのもとに、お客さんがやって来た。アンだ。「数日見かけなかったけど、元気だった? 心配してファクトムの事務所にまで電話しちゃったのよ」。「まあ、まるで私のお母さんみたいね」。二人は笑い合う。
最近79歳になったアニタ。でも、こんな年齢まで生きられるとは思ってもみなかったという。人生の過酷さに負けそうになり、何度も自死未遂を重ねてきたからだ。
「5歳で義理の父親から性的虐待を受けました。母に言っても『遊んでいるだけよ』と相手にされなかった。妹は46歳の時に自死しました」
ずっと生き地獄のような日々だった。学校では集中力が続かず、退学扱いとなった。...
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Text:Sandra Pandevski, Faktum
Photos: Emma Larsson
(雑誌情報)
『Faktum』
1冊の値段/80スウェーデン・クローナ(そのうち半分が販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ヨーテボリ、マルメなど
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE
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433 号(2022/06/15発売)
特集当事者演劇の可能性
スペシャルインタビュー:ジョン・バティステ