販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
『サプライズ』販売者 サメーラ・ファイラ
難民としてスイスに逃れ、悩まされる手術の後遺症。
お客さんとお茶をともにすれば、痛みも忘れられる
スイスの歴史的な街、ビューラハにあるスーパーマーケット「ミグロ」前で『サプライズ』誌を販売しているサメーラ・ファイラは現在62歳。エリトリアからスーダンを経てスイスにたどり着いた。難民収容センターで過ごした期間をつらかったと振り返る、ファイラのライフ・ヒストリーを紹介する。
――スイスに来て、もう21年。まだドイツ語には慣れない部分もありますが、ゆっくりと発音してくれたら理解できます。そして、私にはたくさん話すことがあるということをわかってもらえるでしょう。
子どもの時に習ったイタリア語が口をつくこともあります。半世紀前にエリトリアの首都アスマラで育った者には、普通のことでした(※)。不幸にも私は6年間しか学校に通うことができませんでしたが。16歳の誕生日を待たずして、最初の結婚をしました――これもまた、古い伝統と言えるでしょう。
ですが、最初の結婚は長く続きませんでした。結婚式の...
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この記事が掲載されている BIG ISSUE
453 号(2023/04/15発売)
特集わたしの隣人、人権はどこに
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