販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
イタリア『スカルプ・デ・テニス』販売者 ジョルジオ
「決してあきらめるな。希望を持ち続けなさい」
父の言葉を胸に、65歳で再就職を果たした
1958年、エリトリア出身の両親の元、エチオピアの首都アディスアベバで生まれたジョルジオ。父は機械工として家計を支え、専業主婦の母と姉が二人いた。
幼い頃に父を亡くすと、母が働きに出た。ジョルジオも18歳からボイラー製造に携わったり、タクシーの運転手として働いたりしたが、いずれも倒産。すでに二人の姉は経済的な安定を求めてイタリアのヴィチェンツァへ渡っていた。
90年代、エチオピアの政情が不安定となり、ジョルジオは姉を頼ってイタリアに発つことも考えた。「でも事態は簡単ではありませんでしたね。父亡き後、一家の大黒柱であった私が発つことに母は頑なに反対しました」
結局97年にイタリアへ飛び立った彼は、衣料店で10年ほど働き、アパートも見つけることができた。
だが2008年の経済危機により、またしても会社が倒産。故郷にいる母が病気を患っていることも判明した。「遠くにいて、何もできないことを...
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この記事が掲載されている BIG ISSUE
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