販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
『トラソス』販売者 ティファニー・イザベラ・ブランコ
43歳の今、やっと本当の自分を取り戻した
「今は、毎月目標を達成しているような気持ち」
「夢を実現させるためにブラジリアに来たんです」
ティファニー・イザベラ・ブランコは柔らかくも意志の強い声でこう語った。
ブラジルの首都・ブラジリアで『トラソス』の販売に従事する前、ブランコは2年前に創刊された姉妹誌『トラソス・リオデジャネイロ』で働いていた。「当時は、悲嘆に暮れていましたね」
2021年、政府関連の技術者として働いていたブランコは、コロナ禍で仕事を解雇されるという憂き目にあった。部屋からはエアコンが消え、ジムの会員証を返却し、ついには家賃を払うお金もなくなった。そしてアパートの鍵を返した後は、ホームレス状態にある人々のためのシェルターに入居した。「自尊心をすっかりなくして、打ちのめされました」
ネガティブな思考が心に渦巻く中で、それでも新しい職を求めて前進しようとしていたブランコが見つけたのがあるポスターだった。
「ブラジリアで『トラソス』という雑誌が路上にいる人々...
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE
474 号(2024/03/01発売)
特集ふくしまの13年
ノバク・ジョコビッチ
リレーインタビュー:スポーツキャスター 荻原次晴さん