販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
『アプロポ』販売者 イオン・ラフィラ
多くの素晴らしい人に出会え、生きのびる薬を得た。
「すべてのことに、ただただ感謝しかありません」
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ルーマニアからオーストリアのザルツブルクに15年前に渡ってきたイオン・ラフィラ(37歳)。永住権はまだ持っておらず、現地のストリート・ペーパー『アプロポ』の販売で生計を立てている。
自身のことをおとなしい性格だと語り、初めてのインタビューで緊張しているという。「でも同時に自分のことを話せることをうれしくも思います。チャリティ団体のカリタスのソーシャルワーカー以外には、自分の生い立ちを話したことはありませんから」
そうして彼は楽しかった子ども時代のことを語り始めた。「ほしいものは何でも持っていましたね。ただ教育の機会は限られていて、母国でも読み書きができませんでした。ここでもある程度のドイツ語は話せますが、苦労しています」
父は定職に就いており稼ぎも良かったが、突然この世を去った。「それからです、すべてが変わってしまったのは」。そう言って、イオンは口をつぐんだ。母国にはきょうだいがいる...
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『Apropos』
1冊の値段/3ユーロ(そのうちの半分が販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ザルツブルク
Text:Andrea Niederfriniger, Apropos/INSP/編集部
Photo: Andreas Brandl
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE
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478 号(2024/05/01発売)
特集「はやぶさ2」。リュウグウの石は語る
スペシャル企画:坂本龍一
リレーインタビュー:大山加奈さん