販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
『ビッグイシュー台湾版』販売者 カン・チューエン
人より多くの時間と努力が必要だった。
でも今、多くの困難に直面しながらも、働く楽しさを満喫
工場跡地にできた台北の文化スポット「華山1914文化創意産業園区」を後にして、最寄駅である地下鉄・忠孝新生駅の2番出口に着いたカン・チューエンは、電動車椅子を上手に乗りこなしながら、人波をかき分けてエレベーターでホーム階に降り、電車を乗り換えた。「次の駅では反対側の扉が開くから気をつけてね」。地下鉄を熟知していることが誇らしげだ。
チューエンはいつもお客さんに、満面の笑みで「ありがとう!」と声をかける。先天的な脳性麻痺により動きは限られており、幼少期から多くの困難に直面してきた。「お手洗いから、着替えまで日常の細々としたことにも、人より多くの時間と努力が必要でした。でもそうやって時間をかけて努力したことにより、今ではこうやって外出して、人とコミュニケーションが取れるようになったのです」
それでもやはり仕事を探すとなると、さらなる困難が待ち受けていたと語る。「ビッグイシューがなければ、今...
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE
479 号(2024/05/15発売)
特集「認知症」を更新する
スペシャルインタビュー:井浦 新
リレーインタビュー:髙田春奈さん