販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

『ファクトゥム』販売者  ラッセ・アンデション

人と会えば楽しくて、孤立を感じない“雑誌販売”
アルコール依存症から離れられ、収入も得られる

『ファクトゥム』販売者  ラッセ・アンデション

ラッセ・アンデションは、スウェーデン第二の都市ヨーテボリにあるアパートで40年ほど暮らしている。雑誌販売を終えて帰宅した彼はドアを開け、リビングルームの天井に空いた大きな穴を見上げながら話してくれた。「これは引っ越した当初からあった穴なんだ。なぜ空いたのかはわからないんだけど」
 ラッセは自宅を安く手放し、前の家主と部屋を交換するようにこの住まいを手に入れた。当初は「してやられた」と思ったものの、今は後悔していない。「相手は引っ越しすることで『職場に近くなる』と喜んでいたしね」
 リビングの真ん中に置かれたベッドの上には、前の家主の持ち物とおぼしきピンクのレースがあしらわれた枕に、青い花柄のかけ布団。そして枕元には、ラッセの息子が写った学校の集合写真が飾られていた。
 政治や経済の話題が好きなラッセは、いつもベッド横のテレビでニュースを観ているという。「歌のコンテストはあまり好きじゃない。...

続きは、本誌をご覧ください

『Faktum』
1冊の値段/80スウェーデン・クローナ(そのうちの半分が販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ヨーテボリなど、イェータランド地方の数都市

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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