販売者に会いにゆく (旧・今月の人)
『ドラウセンザイター』販売者 リンダ・レニングス
ほんの少しの会話で、人生が変わり始めた。
薬物依存症から回復、今では仲間を支える側に
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ドイツのケルンで発行されるストリートペーパー『ドラウセンザイター』の元販売者だったリンダ・レニングスは、今年10月に自伝『路上の抵抗:女性とホームレス』を出版した。彼女が本を出す決意をしたのは、「同じ境遇にある女性たちを励ましたかったから」だと語る。とはいえ、幼少期の記憶を呼び起こすのは決して容易な作業ではなかったという。
「それはまるで、暗い森に迷い込み、誰も手を差し伸べてくれない恐怖の場所に戻るようなもの。私の父はずっと不在で、母も『父さんはいないよ』と言うのみでしたから、探し出すことすらかないませんでした。母の虐待を逃れて、私はほとんど祖母の手で育てられたのです。最期を看取るまで、祖母は私にとってロールモデルのようなタフな女性でしたが、二つの大戦を経て若くして夫を亡くし、娘である私の母とも疎遠で、彼女自身も余裕がなかったのでしょう」
結婚後、40代に差しかかると、リンダは精神的に変...
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『Draussenseiter』
1冊の値段/1.70ユーロ(そのうちの0.90ユーロが販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ケルン
※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。
この記事が掲載されている BIG ISSUE
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493 号(2024/12/15発売)
特集小さな私の習慣
スペシャルインタビュー:ブルース・スプリングスティーン
リレーインタビュー:コラージュアーティスト 河村康輔さん