販売者に会いにゆく (旧・今月の人)

『ヒンツ&クンツ』販売者 ダニエル&ミラベラ夫妻

深夜の路上、激痛で目を覚まして急きょ出産
ルーマニアに家族残し、ドイツで雑誌販売の夫

『ヒンツ&クンツ』販売者 ダニエル&ミラベラ夫妻

母国ルーマニアからドイツのハンブルクへと渡ってきたダニエルとミラベラの夫妻は、ともに少数民族のロマ出身だ。二人は3年前まで、ルーマニア南部ワラキア地方の小さな村で、妻の兄や両親とともに自分たちの手で造った粗末な家に住んでいた。
「そこでの暮らしは電気が通っているだけで、水道はなく、将来の展望も思い描けませんでした。仕事を探そうにも学歴がない上に、ロマ族であることを理由に断られ続けたのです」
 その後、職を求めてハンブルクへ来たものの、言語の違いが壁となって就職に挫折。路上生活を余儀なくされた夫妻は『ヒンツ&クンツ』の事務所を訪れ、毎朝8時半から昼下がりまで雑誌販売をすることになった。
 ある日の深夜、ミラベラはお腹に激痛を覚えて目が覚めた。夜も明けないうちに二人で病院へ行き、そこで彼女が妊娠6ヵ月だったことを知る。容体が急変し、感染症の疑いがあるために帝王切開を行う必要があると医師から告げ...

続きは、本誌をご覧ください

『Hinz&Kunzt』
1冊の値段/2.20ユーロ(そのうちの1.10ユーロが販売者の収入に)
発行頻度/月刊
販売場所/ハンブルク

※掲載内容は取材当時のもののため、現在と異なる場合があります。

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